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スクールカウンセラー日記【8月25日】

令和2年8月25日(火)

 

こんにちは!

スクールカウンセラーの吉澤寿一です。今日も各教室を回り子ども達の生活の様子を参観させていただきました。ある教室では、机を並べている隣の席の子に課題の進め方を親切に説明しているお子さんの姿を見かけました。暑い日でしたが心に爽やかな涼風が流れました。

 

さて、「情けは人のためならず」という諺があります。この諺を検証した研究があります。

ある保育園で、9か月にわたって5~6歳の子ども達70人を対象に子ども達の遊ぶ様子を観察調査しました。

調査の目的は、「人間関係はどのような振舞いで良くなるのか」というテーマです。この70人の子どもの内、特に友達に対して親切な行動をすることが多い子ども12人を選び観察を続けました。

 

ここにAちゃんがいます。AちゃんはBちゃんに親切なことをします。たとえば、「着ている洋服のボタンをとめてあげる」とか「おもちゃを貸してあげる」といったBちゃんにとって親切と感じられる行動です。

相手に対して親切に振舞うことを「利他行動」と言います。

 

AちゃんはBちゃんに、一生懸命になって親切をします。子どもの素直な気持ちの表れでしょうか。このAちゃんがBちゃんに何回も親切にする姿を見ていた周りの子(Cちゃん達12人)が見ていました。

すると、その直後、周りで見ていたCちゃん達がAちゃんに対して親切な行動を始めたたそうです。

このときAちゃんは、普段友達から受ける親切と比べて、なんと11倍の親切をCちゃん達から受けたそうです。

 

困っている人を見過ごすことのできない「利他性」は、人間に特有なものとされています。ある人が利他行動を行った結果、その人が周りの人から「いい人だなあ」と評価が良くなって、その人が他の人に行った利他行動が回りまわって、別の人から返ってくる仕組みを「社会間接互恵性」と言います。

 

この研究は、他人のやり取りから他人の良さを見つけ出し、親切な人にはより親切に振る舞うという社会間接互恵性を育てることが重要であることを示唆しています。

親切のお返しは、「倍返し」どころか、「11倍返し」になるということでしょうか。子ども達の学校生活の様子と重ね合せて考えると大変に興味深い研究だと思いました。

(大阪大学比較発達心理学の研究を引用要約しました)

 

スクールカウンセラーは、保護者の方の相談も受け付けています。お子さまの性格や行動、学校生活に関すること、子育てのことなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。次回の訪問は、9月29日(火)午前です。相談の申し込みは本校教頭先生までご連絡ください。